「Kの水葬」、読了ありがとうございました。いかがでしたでしょうか。

 今回は高校時代に中途半端に書いたものを、設定をかなり変えてのリテイクです。やりたかったことは「視点を交互に入れ替えてのストーリー展開」です。リテイク前からこういう構造だったのですが、読者の立場になって読むとなかなか不親切な設計になりますね。短編だと特に難しい感じ。

 後は昔のウィットに富んだ小説を多少参考にしたり、閉塞感が欲しくてなるべく感嘆符を減らしたりしました。ただ今回舞台に選んだ1980年代後半というのはバブル経済真っ只中なわけで、そうなると地の文の語りはどちらも古臭いような気がしています。さじ加減が難しいところです。ちなみに参考は「どくとるマンボウ航海記」でした。時代がまず合いません。

 舞台について。時代設定は一応1980年代の後半、世の中がバブルで浮かれている時ですね。舞台の街の方は海沿いではありませんが作者の地元がモデルです。さすがに電車は一時間一本ですが、電車の中で切符購入とか決まった時間だけ有人駅とかはまだ普通だったりします。しかし、なぜバブル崩壊後生まれには理解し辛い時代に設定したのか、自分ながら謎です。

 キャラも色々と設定があるのに、なかなか活かせなかったのは反省点です。どうにかおまけで回収したいところです。

 最後にタイトルにあるKについて。これは原型のタイトルが元々「K」だったのです。中塚のポジションにいた人物を仮にKと呼んでいた、という作中の設定から来ています。原型を書いた理由がこころやKの昇天に影響を受けた、だったからで、ある放送禁止用語の頭文字を取ったものでもあります。ただリテイク後の作品ではそれらは関係なく、作品に関係するいくつかの単語の頭文字、というだけです。